雨が降ったら
雨が降ったら
次、雨が降ったら、返事ください。
その一文を最後に、手紙は終わっていた。
生まれてはじめてもらったラブレター。
読み終わって、封筒に収めなおした途端、
馴染みのないざわめきが胸にはじまり、波紋のごとく、全身に伝わった。
好きです。
ずっと見てました。
いつも、雨の日が、待ち遠しくて。
窓の外、朝から降り続けている雨は夕方になっても衰えを知らず、
テレビの音をかき消すように落ちてくる。
見るともなしに見ていたテレビを消して、ソファに倒れた。
「好き、だって」
わたしのことが。
冗談なんかでわざわざ手紙を綴るものだろうか。
それも、話したことのないまったくの赤の他人に。
(冗談じゃあ……ないよね、きっと)
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