雨が降ったら

 すべては後の祭り。

 後悔先に立たず。

 彼との唯一の接点を断たれて、改めて気づかされるたしかな想い。

 手紙を受け取ったあの日に生まれた初めての気持ちは、わたしの中で日々すこしずつ着実に膨らんでいた。


 それなのに、

 もう逢うことはない……。


 彼のうなじが、日に焼けた顔が、眠たげな目が、赤くなった耳が走馬灯のように瞼に浮かんで、
 そのたびに心が悲鳴を上げ、わたしは鳴咽を噛み殺しながら、胸の痛みにじっと耐える。

 パソコンの電源を落とすと、部屋のベッドに寝ころんだ。

 窓の外、降りしきる雨に背を向ける。

 あれだけ望んだ雨が、いまはひどく恨めしかった。


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