雨が降ったら

 手紙を捨てれば、思い出を捨てれば、
 彼への気持ちもそのうち自然と消滅するだろう。

 わかっているのに出来ないのは、心がまだ彼を想い続けているからだ。

 想い続けていたいと、切に願っているからだ。

 もう彼には別の誰かがいるかも知れない。

 わたしのことなど忘れているかも知れない。

 それなら、それでいい。

 彼の幸せをわたしは願う。


 だが、いまはまだ、想いを断ち切ることが出来ない。


 断ち切れる日が来るのかも、いまはまだわからないけれど、
 もしいつかその日が来たらすっぱり、後腐れなく手紙を捨てよう。


 だから、それまではまだ、


 このままで。


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