雨が降ったら


 第二ボタンは、俺の気持ちです。

 ずっと、あなたのことが好きでした。
 会えなくなってからも、やっぱり忘れられなくて。

 こんなのもらっても、迷惑だってわかっています。

 だから、捨ててくれてもかまいません。

 ただ、最後にもう一度だけ、俺の気持ちを伝えたかったんです。

 ほんとうは口で言えれば一番よかったはずだけど、そうもいかなかったから。

 臭いことをしてくれると笑いますか。笑いますよね。
 でも、いいんです。
 少し恥ずかしいけど、あなたが笑ってくれるなら、俺は幸せです。



 ――時間をかけて選んでくれただろう、真摯で健気な想いが、ひしひしと伝わってくる。

 誰が、と思う。

 誰が笑ったりなどするものか。

 彼が幸せだと言うのなら是が非でも笑ってやりたいと思うけれど、
 笑おうとすればするほど顔は歪んで、目からは涙が溢れてくる。

 悲しさから来るものか、それとも、嬉しさから来るものか、
 とめどなく頬を伝い落ちる涙を拭うことなく、わたしは夢中になって手紙を読み続けた。


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