雨が降ったら
緊張と嬉しさのあまり、うずうずしながらわたしはバスを待った。
逸(はや)る気持ちを抑えつつ、何度も首を伸ばし、いまかいまかとバスを待つ落ち着きのないわたしを、
同じようにバスを待つ乗客たちはさぞかし不審(ふしん)に思っただろう。
そんなことがまったく気にならないくらい、わたしは森田岳という人に再会出来ることを、心の底から喜んでいた。
やがて、いつもと同じ時刻にバスはやってきた。
なるべくいつもどおりにと平静を装ってバスに乗り込む。
彼はいるだろうかと視線を巡らせた――巡らせようとした、そのとき。
(なに、これ)
入ってすぐ正面、もっとも目につくところに掛けられた時刻表にわたしは目を留めた。
おもわず駆け寄りそれを凝視する。
バスが発進すると体勢が崩れ、とっさに近くにあったポールに掴まった。雨で床が滑る。
足に力を入れて踏ん張り、食い入るように時刻表を見つめる。
思わず目を剥いた。
(か、変わってる……!)