恋のつぼみ


そして放課後。

あたしは屋上へと向かった。

「花音」

「蓮くん・・・いきなり呼び出したりなんてしてごめんね」

「俺こそ・・・昨日はごめんな? ほんとに友だちだから・・・」



――嘘。



「もういいじゃん。嘘なんてつかなくて。蓮くん、前から浮気癖があったんでしょ??
 てか、あたしの前で“家来い”だなんて言うだなんて・・・ひどいよ・・・」

「あ・・・あれは・・・」

「ごまかそうだなんてしないで。本当は友だちなんかじゃないんでしょ?? もう全部分かってる・・・別れよう」

「はっ、あっそ。お前なんてもともと本気なんかじゃなかったしな。もういいわ」


ど・・・どういう事・・・。

本気じゃなかった・・・??

あたしは、蓮くんの事、信じようって・・・思ったんだよ??

――遊びだったの??




あたしは涙をこらえきれなくなり、非常階段を駆け下りた。

< 127 / 137 >

この作品をシェア

pagetop