恋のつぼみ

もう涙は出なかった。

あたしは急いで、教室へ戻った。



「花音・・・大丈夫??」

「愛梨・・・心配してくれてありがとね。もう大丈夫だから・・・」


あたしは、遠慮がちに微笑んだ。


泣いたって、悲しんだって、蓮くんを恨んだって――どうにかなるわけじゃない。

だから・・・決めた。

あたしはもう泣かない。

強い人間になるんだ。



「あたし、蓮くんと別れた。・・・てか、あたし・・・遊ばれてたみたい」

「はぁ!? 日向さんが・・・?? 信じらんない!! アイツ何考えてんの!? 文句、言ってきてやる!!」


―――ダメ・・・!!


あたしは、とっさに愛梨の腕をつかんだ。



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