Sea
プロローグ
空が茜色に染まる中、当てもなく歩いた。

どうしてだか涙が頬を伝う。

悔しくて、もどかしくて、辛くて。

でも、何も出来ない自分に腹が立つ。

ああ、だから自分は泣いているんだ。

道行く人は不審な目で一瞥するが、すぐにそっぽを向き行き過ぎる。

自分には関係ない、と言わんばかりに。

どうしたの?

ふと、背後から声を掛けられる。

振り返るとそこには茜色に染まった美しく、優しい笑顔があった。
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