幸せというモノ
「んでね、健が、可愛くてねっ!」

「やっぱいいね、彼氏って」


登校中、ずっと恋バナをしていた私たち。



「いいでしょ~♪

しほは彼氏いないの?」


ほら、来た…この質問。


“いない”って言ったらきっと

ダサいとかって思われるだろうな…。



「まぁ…いた時期もあったけど…」


と、少し遠まわしに言う。


「じゃあ、昔はいたの?」


「まぁ、中学生の時はいたけど…」


居たっていっても

本気で好きだった訳ではない。

単に、遊びのようなもの。

お互いに気が合い

その場のノリで

なんとなく…付き合っただけ。


だから、雅が初恋の人って言っても

おかしくはない。



「へーーぇ、じゃあ今彼氏つくっちゃえば?」


軽く言っているけれど

彼氏を作ることって

そんなに簡単なことではない。


それに私は…雅が好きだから

雅以外の彼氏なら

私はいらない、必要ない。


けれども…雅は何もかも完璧な人だから

きっと、彼女がいるはず。

そこで私の恋は…

終わりなのかもしれない…


「付き合う人とか……いないし」


次の瞬間、美紅が

私の心を読み取ったかのように話した。


「雅とか、彼氏いないよ?」


嘘っ……

あんな王子様に、彼女がいないのか。

不思議でならない。


この彼女くらい…

居てもおかしくないのに。





< 14 / 28 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop