幸せというモノ
「じゃあ、読むよ?」


すると、健が

手紙に目を通しながら

読み始めた…


――――――――――――――――――
雅紀くんへ

伝えたいことがあるから

放課後の4時半に図書室で。

――――――――――――――――――


伝えたいこと…

あぁ…やっぱり告白なんだ。

きっと相手も可愛い子に違いない。


「伝えたいことって絶対告白だよね?」

と、健が言う。


「あたしもそう思う」

美紅も健に賛成している様だった。


「これ、いかなくちゃならないの?」


雅が面倒くさそうに言う。

“行きたくないのかな…”


なんて考えてしまう。



「行った方がいいんじゃない?」


本当は、行ってほしいなんて

これっぽっちも思っていない。


ただ強がっているだけ…。

行って欲しくなんかない。


行ってしまうと

もう…雅の近くに

居られなくなってしまうような

そんな気がして…


けれども…

“行くな”とは言えず


“言った方がいいんじゃない?”

としか、言いようがなかった。



< 19 / 28 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop