pure。
空が、夕焼けとラベンダー色の夜と、グラデーションになって綺麗だった。

 その空の下、あたしはマンションのチャイムを押す。もちろん部屋は…

117号室。いつもと変わらない【IBUKI】の文字。

 前逢ったリュウと、今会おうとしてるリュウは、見方が少し違う気がする。

初めて会った日は、【格好よくて、面白いちょっとチャラいおにーさん★】だった。

けど…今会おうとしてるリュウは、一回目のリュウと、【親友のミオの兄】というリュウが混在してる。

 あとね、あたしも変わった。なんか、学校で逢ったときから、リュウのこと考えたら、うきうきする。

 リュウ...早くカオ観たい....

「はいー。」
リュウの声がしたのに、リュウは玄関にいない。なんで???

「メイー。ここだって。」

ポン、と頭を軽く叩かれた。ビックリして振り向くと、スクバを片手に持ったリュウが笑ってる。

『リュウ…香水クサい?』

少し嫌な気分が頭をよぎった。

「カノジョと制服デートしてきましたあー」

と、少しテレくさそうにはにかむ。

 そのときはまだ、この胸の痛みの意味も気付いてなかった。もしかしたら、胸の痛みにさえも気付かなかったのかもしれないけど、、、

 そのとき、細い針で 心がチクン、と刺された気がした。
< 6 / 9 >

この作品をシェア

pagetop