狼彼女のお気に入り
優しくしろ…、な
俺は篠田がいなくなった廊下でその言葉を繰り返していた。
しかし、そんな風に改めて言われてしまうと、どうしても考えこんでしまう。
注意…はしてもいいんだよな?
生徒会長としての仕事もしていいはず……
「あぁっ…会長!!」
「ん?あ、柴原。」
廊下の向こう側から、ちょこまかと柴原が走ってくるのが見える。
「探したんですよぉ!早く来てください!!」
「ちょっ…引っ張るなって!」
柴原は俺の目の前まで来ると、安心したように笑って、俺の袖を掴んで走りだした。
その走るスピードは決して速いとは言えない。
俺は追い越しそうだったペースを少し落として、柴原に合わせるように走った。
「ここですっ!」
「これは…」