狼彼女のお気に入り
次の日。
俺が登校した時間に、まだ校舎に生徒は見られなかった。
今日はもうすぐ行われる体育祭に向けて、朝の時間を使いながら生徒会で準備をすることになった。
勿論、他の生徒会メンバーも来るのだが…
少し早すぎたらしい。
生徒会室に顔を出しても、まだ誰一人いなかった。
皆が来る前に資料整理だけでもしておくか…
体育祭というのは思っていたよりも大変だった。
生徒会主催となると、賞品からルール説明、当日の運行、それこそ雑用まで、様々な仕事をしなければならない。
ただでさえメンバーの少ない生徒会だけで仕切るには、一人ずつの負担が大きくなってしまう。
無論、俺はそれ覚悟だったのだが…
他のメンバーはどうなのだろう?
やはり負担が大きすぎたのかもしれない。
…しかし、もう止める訳にはいかない。
だからこそ、俺が少しでも負担を減らしてやりたい。
俺は机の上に置かれていた書類に目を通し始めた。
「思ったよりも予算がかかるな…」
そんなことを言いながら、小さくため息をついた時。
カシャ──
変な物音が聞こえた。