狼彼女のお気に入り
なんだ、今の音は?
廊下から聞こえた気がした物音。
誰か…来たのか?
そう思ったけれど、誰も生徒会室に入ってくる気配はない。
気のせい、か。
気を取り直して、もう一度資料に目を落とす。
やっぱり少し、予算がオーバーするな…
部活ごとに少しずつ減らしてもらうか…
カシャ──
……まただ。
変な物音がまた、静まり返った教室に響く。
間違いない。
やっぱり………誰かいる
「…そこにいるのは誰だ」
「ひぃ…」
女の声…?
少し引きつった声の後に、パタパタと小さな足音が聞こえた。
「チッ。」
逃げられたか。
用があるなら入ってくればいいじゃないか。
何なんだ、今の女は。
「あれ?会長、早いですね?」