狼彼女のお気に入り
「ん?あぁ…柴原か。」
「はい。って、わぁ…!こんなに資料、片付けてくれたんですかっ!」
「早く来すぎたからな。」
目の前で目を輝かせて喜んでいる柴原。
これでもし、こいつが犬だったら、思いっきり尻尾を振り回していただろう。
いちいち反応が大袈裟すぎて笑えてくる。
「そういえば、誰か来てたんですか?廊下になんか出て…」
「いや…ちょっと、な。」
思い出したようにそう聞く柴原に、俺はそう答えた。
実際、あの女は誰なんだろう?
というか、ここでこんな時間から何をしていたんだろう?
問題ばかりが浮かんできて、頭が痛くなる。
「会、長…?」
「…何でもない。気にするな。」
心配そうに顔を覗かせる柴原に心配をかけまいと、笑いかけた。
とにかく今は体育祭を無事に終わらせることだ。
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