狼彼女のお気に入り
「…ふぅ。」
これで一応、資料整理は終わった。
あとは当日だけだ。
当日まであと2日。
何も起こらなければいいんだが…
「俺はこれを提出してから教室に行く。お前らも入室時間に遅れないようにな。」
「「「はい。」」」
よし、と。
生徒会室を出て、職員室へと向かう。
カシャ──
また、廊下の曲がり角を曲がる時にその音が聞こえた。
何なんだ、一体…
俺は少し速めに歩く。
正体の分からない音、なんて悪趣味だ。
「──翔君」
「わっ…!!!な、何だ優太か…」
「何だってひどいなぁ〜」
少し速くなった鼓動が徐々に戻っていく。
優太はむくれたように頬を膨らませた。
俺はそんな優太にクスリと笑う。
「すまん。今のはそういう意味じゃないんだ。」
「なぁんだ。…そういえば翔君、大変みたいだね。」
「ん?まぁ、体育祭も近いしな。色々とやることが…」
「そーじゃなくて。」
「は?」
そうじゃない?
「分からないなら、その方が良いかもしれないよ。」
「優太?」
「何かあったら、僕も恵介君も助けに行くからね!」
「あ、うん。そう、だな…」
助ける?
訳もわからず頷いた俺に、優太は満足そうに笑った。