狼彼女のお気に入り
優太と一緒に教室まで行くと、何やら妙な視線を感じた。
見られている。…なんて尋常なものじゃない。
監察、と言った方が正しいかもしれない。
「なぁ、優太。」
俺はそのまま平然と自分の席へ着いた優太に、小さく声をかけた。
「なんか…見られてないか?」
「ん〜…そうかな?いつも翔君は女の子に人気だよ?」
「いや、そうじゃなくて…」
というか、俺が人気なんて嘘だろ。
もしも俺が人気だとしたら、もう少し生徒会活動に手を貸してくれたって良いじゃないか。
「見られているだろうな。いつも以上に。…翔、優太、おはよう。」
「あ、おはよう。」
「おはよう、恵介君♪」
優太がそうかな〜なんて言いながら、首をかしげていると、恵介が登校してきた。
「何で見られてるんだ?」
俺には全くと言っていいほど、手掛かりがない。
「大方…原因は翔だな。」
「翔君モテモテ〜♪」
「か、からかうな!」
何で俺が原因なんだ。
今日になって、いきなりジロジロ見られる理由がない。
「何かやったんじゃないか?」
「いや、別に何も…というか、俺が原因なことが前提なんだな?」
「うーん…翔君、いつも女の子に厳しいからな〜」
「別に厳しく…」
「あ、あの…!楠木君?」
───は?