狼彼女のお気に入り
本当は…
本当はただ、会長の困る顔が見たかっただけなの。
そう言ったら、会長はまた怒るかもしれないけれど…
それでもやっぱり。
会長が他の女に笑いかけたりするところなんて見たくない。
会長の一番近くに、いたい。
そう言ったら、今度こそ困った顔をしてくれるかな?
「…ふふっ」
ちょっとだけ。
ほんの少しだけ、会長に近づけた気がする。
キス、とか
そんなことではなくて、もっと心の奥の方から、近づけた気がする。
自然と緩んでいた頬に気づいて、あたしはまた笑った。
ふと窓の外を見ると、会長のクラスが体育をしているのが見えた。
サッカー、かな?
会長の柔らかい髪が風になびいて、会長は眩しそうに目を細めた。
本当なら、ここから大声で叫んでしまいたいんだけど。
……今日はやめておこう。
「…会長、好きだよ。」
憐said end〜