狼彼女のお気に入り



ご褒美って何だよ…



少しやきもきしながら篠田を睨む。



でもそんなこと、篠田には全く効果がなくて、フッと鼻で笑われてしまった。



「会長〜!そろそろお願いしま〜す!」



突然、遠くのテントの方から、俺を呼ぶ声がした。



俺は返事をして歩き出したのだが、なんとなく篠田の表情が気になって振り向いた。



「ん?」


「いや…別に」



俺の気のせい、だろうか?



少しだけ、篠田が何かを企んだような表情をした気がしたのは。



……なんか、嫌な予感がする。



そんな思いを抱えつつも一応、生徒会長として全校生徒の前に立つ。



やっと最後の競技の全校ダンスだ。



これが終われば、無事に終了することが出来る。



俺は少し汗ばんだ手をぎゅっと握りしめて、マイクを持った。









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