狼彼女のお気に入り
全校の皆からアンケートで集めた曲が校庭に流れている。
それを聞きつつ、俺は校庭に篠田の姿を探していた。
まぁ、篠田のことだから「めんどくさい。」とか言って、参加してないんだろうな。
木陰かどこかですました顔して見ていたりして。
「ククッ…」
なんだか自然に笑みが零れた。
「…なに笑ってるの?」
「え?な、なんだ…いるなら声かけろよ。」
後ろを振り返ると、腕を組んで木に寄りかかっている篠田がいた。
…やっぱり参加していない、な
そう思うと、また笑いがこみ上げてきた。
「かけたけど?一人でニヤニヤしてたのは会長でしょ。」
「っ…に、ニヤニヤなんかしていない!」
「じゃあ………あたしのこと探してた、でしょ?」
「なんで俺がお前を探すんだ。」
「一緒に踊りたいから、とか?」
自分で言っておいて、何で疑問系なんだよ。
そう思いながらも、あながち外れてもいない答えに言葉が止まる。