狼彼女のお気に入り
篠田のそんな顔は見たくなくて
このキスがもっと続けばいいのにとか
この腕で抱き寄せてしまえればいいのにとか
そんな柄にもない考えが頭の中をぐるぐると巡る。
……最近の俺はおかしいから。
「…会長……あたし」
「も、もうダンス終わっちゃったな!」
「ねぇ会長」
「俺までサボったから怒られるかもな!ま、まぁここは人目につかないし大丈夫か!」
……嫌だ。
篠田が何か言おうとしているのはわかってる。
でも、俺は必死に気づいていないふりをした。
今篠田の言葉を聞いてしまったら
………俺の中の何かが変わってしまう。
気づいてしまう。
だから………
お願いだから
「会長───…」