狼彼女のお気に入り
好きじゃない
あれから俺はどうしたんだろう……
『会長、好きだよ』
あの言葉を言った後、篠田は少し寂しそうに笑ってどこかへ行ってしまった。
それは一週間経った今も同じで
篠田は俺の前はおろか、学校にも姿を見せていない。
「──う……会長?」
「あ…あぁ柴原か。」
「夏休みの生活について、プリントはこんな感じでいいですか?」
「そ、そうだな…」
篠田の言葉を聞いたあと、すぐにでも追いかけるべきだったのだろうが…
連絡を入れてみたいけれど、どうしても決心がつかないでいた。
自分がこんなに意気地なしだとは思わなかったな…
「…………あと会長。このあと残っていてください。」
「わかっ……は?」
柴原はそれだけ言い残してその場を立ち去った。
残っていてください、なんて…
柴原がそんなことを俺に言ったことなんかなかった。
なんか……あったんだろうな。
それしか考えられない。
悩み事を相談してくれるのは嬉しいが
正直、今の俺にそんな余裕があるのだろうか……
アイツのことだけで仕事にもちゃんと手がつけられてない俺が。
相談、な……