優しい風〜隠れ美少女の初恋〜【完】
お嬢様の風格は丸でなし。

所詮、下請けだよな。



「俺に逆らったらお前、上流から下流に落ちるな」



「は?」



「あ、藤堂商事は中流で、上流ではなかったか(笑)」



俺は藤堂麗香を鼻で笑いながら、前に3枚、姉貴から貰った名刺の1枚を財布から出し、テーブルに置いた。



「穂波商事…専務…、“穂波伊知郎ーイチロウー”。何で基槻君が…?」



「俺の義理の兄なんですよ。
上には上が居るって、わかりましたか?」



俺がニヤリと笑うと、風君は力なく笑った。

遊は「こんな爪の人…料理なんて出来ない…」と、麗香さんのネイルが綺麗に施された長い爪を指差した。
< 109 / 252 >

この作品をシェア

pagetop