優しい風〜隠れ美少女の初恋〜【完】
「俺、朝早いから無理」



「いつも私の方が早いじゃん!」



お兄ちゃんが何をしないのか、何が言いたいのか、全くわからない。

しかし、ここで言い合っても無駄だ。

泊めて貰う側が、揉めてたらダメだ。



「私…基槻の部屋で良いよ」



お兄ちゃんから荷物を受け取り、私は「お邪魔します…」と、緊張しながら、基槻の部屋に入った。

綺麗に掃除されて、白と黒で統一されてる。



「荷物、クローゼットの前にでも置いとけば良いから」



「…わかった」



基槻の声が低い。

私は“わかった”とは言いつつも、荷物を置くのを躊躇った。
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