優しい風〜隠れ美少女の初恋〜【完】
「これから遊が帰って来る場所は、俺の所であって欲しい…」



「…基槻…っ…(笑)」



私は泣き笑いをし、頷いた。

嬉しかった。

幸せだった。

今すぐじゃなくても、私に家族がまた出来る事が。



「お兄ちゃんが“初”って笑うよ…(笑)」



「お前が言うな…っ!;;」



基槻は私を抱き締め、“仕返し”とばかりに、頭を顎で刺激して来た。

…地味に痛いよっ!;;

私は基槻の腕から脱出し、お父さんやお母さんに頭を下げて、霊柩車に乗り込んだ。



「お願いします…っ」



「お兄さんも、きっと喜んでいらっしゃいますね」



「ありがとうございます…」



私はお兄ちゃんの遺影をぎゅーっと抱き締めた。
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