優しい風〜隠れ美少女の初恋〜【完】
ダメージレギンスを撫でながら、私はモジモジする。



「大丈夫だろ。個室だし」



何か…刺のある言い方をされた。

私は「着替えてから行く…?」と言って、唇を噛んだ。



「あー…違う」



「ん…?」



「可愛いから…表にあんま出したくないだけ」



基槻はワックスでセットされた髪をくしゃくしゃにしながら言う。

私は「照れないでよ…っ」と、肘つきに突かれた基槻の腕を叩いた。

…こっちが恥ずかしいよ…。



「…ちょっ…!;;」



左折専用レーンに入り、少し渋滞して停車した車内で、右頬に触れた唇。

私は頬を手で押さえながら、ブレーキランプに負けない位、顔に熱を感じた。
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