優しい風〜隠れ美少女の初恋〜【完】
それにしても、基槻が大きく感じる。

こんなにも近付いた事がないからかも知れない。

165センチの私より、顔が上にあるんだもん。

私は濡れた睫毛の滴が付いた眼鏡を外し、基槻に「上がって」と伝えた。

廊下とリビングの電気を点けて、キッチンにコーヒーを淹れに行く。

基槻はリビングを行ったり来たりしている。

私がマグカップを二つ持ち振り返ると、基槻は固まった。

…何で?



「す、座らないの?;;」



私はマグカップをテーブルに置いて、基槻の腕を引っ張る。



「眼鏡は?」



「あ、あるよ?;;
なくても見えるけど…」



私はスカートにしまってある眼鏡を取り出し、ハンカチでレンズを拭いて掛けた。
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