優しい風〜隠れ美少女の初恋〜【完】
基槻は何故か「良かった」と呟き、ソファーに座る。

私はブレザーを脱ぎ、リボンと、ボタンを二つ外した。

沈黙が包むリビング。

私はテレビ台の下にある薬箱を取り出し、風邪薬を出した。

キッチンに戻り、冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出して薬を飲むと、基槻が立ち上がった。



「遊の部屋、どこ?」



「へ、部屋…?」



「寝ないと治るもんも治んねぇら寝んの」



「あ、はい…っ」



ちょっと強めに言われ、私は頷くしか出来ない。

ブレザーとリボン、鞄を持って、基槻を連れて部屋に戻る。

空気の入れ換えの為に開けていた窓を締め、私はクローゼットを開けた。



「着替えたら呼んでな」



「うん」



基槻は鞄だけを置き、廊下に出て行った。
< 32 / 252 >

この作品をシェア

pagetop