優しい風〜隠れ美少女の初恋〜【完】
「着替えたよ…」
パパッと着替え、ドアを開けて、基槻を中に入れる。
私はベッド、基槻は机の前にある回転椅子に座る。
「あ――…」
張り詰めた部屋の空気を割ったのは、基槻の声。
私が基槻の方を向くと、基槻は、机に飾られた、高校入学の時に、叔母さんに撮って貰ったお兄ちゃんとの写真。
シンプルな木枠に入った、スーツを来たお兄ちゃんと、真新しい制服を着た私。
「この人、さっき校門に居た人…だよな?」
「うん。お兄ちゃん。
風ーフウーって言って、今26歳」
「何だ、兄貴かよ…」
…ん?
やけにホッとしたような表情をした基槻に、私は首を傾げる。
けど、風邪薬が効いてきたのか、眠気が襲い、倒れるように、寝付いた。