優しい風〜隠れ美少女の初恋〜【完】
てか、剛に電話しねぇと…。

“惚れた”と言えば、何と返事を返して来るか、柄にもなく不安だ。

情けないほど、不安――…。

部屋を出て、ドアに背を凭れた。

ズボンのポケットから携帯を取り出し、着信履歴のページから、剛の番号を出す。

このまま黙って付き合えば、“まだ付き合ってんのー?”と言われそうだ。

―――なら言えば良いのか?

何か俺、恋する乙女だよな(笑)

笑い事じゃねぇけど…。

俺は意を決して、通話ボタンを押した。

笑われたって、どんな反応をされても、俺は遊が好き。

それは確かな事だ。

これからも、変わらない。

遊の顔とか関係なしに。

俺は遊を包んで行く。

だから遊……俺を恨んでも構わない。

俺から離れる事だけは、しないでくれ…―――。
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