優しい風〜隠れ美少女の初恋〜【完】
【第三章】―離れない事―
基槻が地面に座った。
私も隣に腰を下ろすと、基槻が、横目で私を見て来た。
「何?」
「眼鏡は?」
「家だけど…」
私が“わけがわからない”と言うような表情をすると、基槻がカッターシャツの胸ポケットから、眼鏡を取り出した。
カーキ色の縁の眼鏡。
私がしてる厚くて縁なしの眼鏡とは違う、オシャレな眼鏡だ。
「これ、俺の眼鏡。掛けて」
「…うん?」
私は「度が合うかな?」と言いながら、スカートのヒダに取り出したコンタクトを乗せ、眼鏡を掛けた。
「微妙にキツいけど、大丈夫かも(笑)」
私は眼鏡のフレームを右手で持ちながら、基槻を見た。
基槻はそんな私の頭に手を乗せた。
基槻の眼鏡を掛けれて、基槻が私に触れてるだけで、幸せを感じる。