優しい風〜隠れ美少女の初恋〜【完】
「遊ちゃんこれ、着てね」
「ありがとう…」
教室から漏れる、遊と林の声に胸が痛くなる。
ヘイジは珍しく怖い顔をして、床に座って居る。
当たり前か。
「1人でヤられないように」と、一緒に身を張ってくれた林にまで、あいつらはヤろうとしただろう。
俺が林の彼氏だとしたら、頭では良いヤツと思っても、心はそうじゃない。
男たちを殺したいよな。
今の俺と同じように――。
「遊ちゃんの着替え、終わったよ!」
林の声に振り返ると、体操着に着替えた遊が俯きながら現れた。
俺は遊の後頭部に手を回し、自分の方にグッと引き寄せ、肩を抱きながら、校長室へと行った。
校長室には、片桐も既に居た。