優しい風〜隠れ美少女の初恋〜【完】
取り残された私たち。

担任の先生は、お兄ちゃんに頭を下げた。



「お忙しいのに、我々の不手際ですみません…」



「大丈夫ですよ。今日は運よく、午後の営業は約束がありませんでしたから」



私は先生に優しい声で話すお兄ちゃんを見て立ち上がった。



「お兄ちゃん、ごめんなさい…。私のせいで…っ…」



また泣き出した私に、お兄ちゃんは手を伸ばし、頬に流れる涙を指で拭った。

ソファーがあるというのに、楽々と私を抱き上げ、床に足を着かせれば、抱き締めてくれた。



「遊が謝る事じゃないんだ」



そう言って、頭を撫でてくれる。
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