ラブソング
そこにはいつか見た顔の女だった。


まったく知らない顔の女も奥にいる。


“ホンジョウ キサ”


ギターを弾きながら歌っている。


力強いメロディに囁くような声、合わないようでマッチしている音楽に耳を澄ませる。


“ウィスパーボイス”だ。


透明感のある声に聴き惚れる。


なぜか、目頭が熱くなって、ボロボロと水分が溢れ出してくる。


ラストのストロークを弾き終えた彼女は、奥にいる女を見て笑っていた。


「どう?新曲なの!!」
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