空を散歩する
「なにがだよ?」
少し大きな声で聞き返すと、掴んでいた手に力を込め、
「雨」
「雨?」
「わたしのせいで雨がやまないの!」
沢村雪乃はそう叫ぶ。顔を苦痛に歪めて。
「なんだよ、自分のせいって。そんなバカなことーーー」
「じゃ、これ見てよ!」
ポケットから取り出した、掌サイズの[なにか]を目の前に突き出され、ゆっくり指が開かれるのを見入る。
……水晶?
それは小さな球体だった。
透明な水晶玉のようだが、中でなにかが波打っている。
光?
虹色の光がオーロラのように、水晶から……。
「ヒッ!」
鼻先につくくらい間近で光の玉を眺めていたが、短い悲鳴を上げて飛びのいた。
「な、な、なんだよ!それなんだよ!」