空を散歩する

・一緒に行ってよ!



[それ]を指差して目を細める。


光に紛れて、なんだ?


虫?


カマキリみたいな……。


「龍じゃない?」


「龍って、ドラゴン?」


「同じ意味じゃない!」


「なんだよ、怒るなよ!」


「怒ってないわよ!」


確かに怒ってはないが、もう泣いてもいなかった。


俺は傘を差し出し、改めて、沢村の掌を見下ろす。


小さな龍が眠っていた。


龍を守るように、糸状の光が立ち昇っている。


「説明しろよ」


「信じてくれるの?」


「信じるも信じないもないだろ。こんなの見せられて。とにかく説明が先だ」



< 12 / 54 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop