空を散歩する
・一緒に行ってよ!
[それ]を指差して目を細める。
光に紛れて、なんだ?
虫?
カマキリみたいな……。
「龍じゃない?」
「龍って、ドラゴン?」
「同じ意味じゃない!」
「なんだよ、怒るなよ!」
「怒ってないわよ!」
確かに怒ってはないが、もう泣いてもいなかった。
俺は傘を差し出し、改めて、沢村の掌を見下ろす。
小さな龍が眠っていた。
龍を守るように、糸状の光が立ち昇っている。
「説明しろよ」
「信じてくれるの?」
「信じるも信じないもないだろ。こんなの見せられて。とにかく説明が先だ」