空を散歩する
ととと飛んだ!
マジで飛びやがった!
ひと気のない公園のジャングルジムが足下に。
見上げるはずの電灯が目の前に。
グングングングン昇っていく。
雨のカーテンに浮かぶ、家々の灯りが小さくなっていく。
夢じゃないよな?
俺、ホウキにまたがって飛んでる。
というか、一つ年下の沢村雪乃のカッパを情けなくひっ掴み、女の小さな背中にしがみついている。
かっこ悪すぎ。
けど、掴まってないと!
どんどん上昇して、もうただホウキにぶら下がってるだけじゃないか!
もし落ちたら、
落ちたら助かる確率は……。
「もういいよ」
「え?」
「手、離しても」
少し角度を緩めた沢村雪乃。よく見ると、ホウキから手を離している。