空を散歩する
いつもと違った。
宮殿に人が溢れている。
というか……。
「あれって、あれか?」
頭のいいはずの神木先輩に、訳のわからない質問をされたが、
「……あれだよね?」
わたしも答える。
かなり上空から、一つの市くらいあろう広さの宮殿を見下ろす。
いつもは静かだ。
たまに[鳥人間]みたいなやつがいるが、それもご愛嬌。
だって空の国だもん。
でもこんなの見たことはない。
わたしは、工場のような一角の上で漂い、忙しなく動く[赤]を眺める。
あれは、
「サンタだろ?」
「バカじゃない?サンタなんているわけないじゃない」
「空を飛べるやつがサンタクロースを信じない?」
「信じないわよ。早く済ませて帰るわよ」