空を散歩する


宮殿の入り口に降り立った。


「サンタは良い子にしか見えないらしいからな」


まだ嫌味を言う先輩に対し、


「あんたここから突き落とすわよ?」


「冗談でもやめろって。でもさ、なんで連れてきたわけ?」


「え?」


「一人でも返しに来れただろ?逆に足でまといだし」


「それは……」


一度、顔を見上げたが、すぐに俯いた。


やだ、なんで緊張なんかするのよ。タイプでもなんでもないのに。


「ま、俺は貴重な体験をさせてもらって感謝してるけど」


「そ、そうよ。感謝しなさいよね」


「素直じゃないなぁ。心細かったって言えよ」


そんな戯言は無視し、そろりと宮殿の中に入る。


大きな柱から柱へ。


外はざわついていたが、中は静まり返っており、奥の部屋に入る。


その中央の台座。


わたしは歩み寄り、ポケットに手を入れた時、


「何者だ!」





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