空を散歩する
大きな扉が開かれる。
まるでお城の王様だ。赤絨毯の先に、ふんぞり返っている[空の神様]の前に突き出される。
兵士たちが膝をつき、こうべを垂れ、
「サリナム様。無事にファーガルの卵を保護いたしました。こやつらが犯人です」
例のSM嬢が堅苦しい口調で言うと、
「あっそ。それよかレイラ、腹減ったんだけど」
子供の声に、わたしは顔を上げた。先輩の驚いた横顔が隣に。
「しかしサリナム様、先ほど召し上がったばかりでは?」
「でも減ったんだもん。なんか用意してよ」
「は、直ちに」
「甘いやつがいいなぁ」
「しかしながらサリナム様、虫歯が……」
「僕に口答えするな!言うとおりにすればいいんだ!」
可愛くて甲高い声。
椅子に肘をつき、短い足を組んで座っている[サリナム様]は、どこからどう見ても、
ガキだった。