空を散歩する
アワアワと後退する兵士たち。レイラさえも、そのキレイな顔を強張らせている。
「な、なによ」
「触れちゃいけないところに触れて、握り潰したんだろ」
オレは最悪な事態に備え、沢村の前に出た。
侮辱されたサリナムは、体を丸めて肩を小刻みに揺らす。
クックックックッ。
「いーこと考えた」
顔を上げたサリナム。
口の端を歪めて、つぶらな瞳を細める。
いわば悪魔の微笑み。
そして悪魔は静かに続けた。
「ファーガルの力が弱まってるから[パギヤの泉]に行ってきてよ」
「サリナム様、それはーー」
「俺、こいつに言ってんの!」
「こいつじゃないわよ!雪乃って名前があるの!」
「じゃ雪乃、自分がしたことの責任を取ってこいよ」
「上等じゃない!やってやるわよ!」