空を散歩する
「君が沢村さん?」
「は、はい」
やだ、急に緊張してきたし、廊下をみんなが面白がって覗いてるし!
「ちょっとこっち!」
わたしは神木泰男の腕を引っ張り、廊下を走った。
まだ休み時間で人目につく。
だから本当は体育館の裏あたりが、告白スペースにうってつけだったけど、
外は雨が降っている。
冷たい冬の雨が。
結局、階段の踊り場で告白を受けることにした。
確かに付き合えば成績は上がるが……。
ジッとこっちを見る、眼鏡の向こうの真剣な眼差し。
タイプじゃないな。
ここははっきり断ろう。よし!
「僕と付き合って下さい!」と来るから、ちゃんと相手の目を見て断る。と分かってても、すごいドキドキするんですけどー!
やがて神木が、
「君は……」
キターッ!キタキタキターッ!