大切以上。
ふたりの時間
22時30分。
家のドアを開ける。
玄関にくつもあって、電気もついてるから、萌はもう帰ってるんだろう。
「萌?いる?」
やけに静かだ。
リビングのドアを開けると、
ソファの上で丸まってる萌がいた。
「っ…」
びびった。
あまりにも肌が白いから。
生きてるか、わからなくなる。思わず、息を確認した。
ふうと、息をつく。
きっともう風呂には入ったんだろう。
素顔だから。
「こいつ、こーゆう部屋着すきだよな…」
柔らかそうなロングスカート。ゆるいニット。
寝心地がいいとか、言ってた気がする。
「萌。冷えるぞ」
ゆすってみる。
けどわかってる。
こいつは起きない。
いつもあまり寝付き良くないから、眠れない夜もある。
だからいきなり何日も眠る。
この繰り返し。
「壊れんなよ」
無理すんな。
いつも言いたいこと。
ひとりで大人に、なろうとすんな。