先生に囚われて
「ちょっ、宮野さん?さっきから、何言ってんの?」

「あれ、先輩立てるんですか?」

「私、立てないなんて一言も言ってないんだけど……ただ、ちょっと尻餅をついちゃってただけで」

「ふーん、そうなんですか?でも困ったなぁ。もう佐伯先生呼んじゃったし」

「知らないわよ、そんなこと。サエちゃんには誤解だったって言えばいいんじゃないの?」

「あ、そっか。そうですよね。……でも、信じてくれるのかな?佐伯先生」


雅先輩との会話をいったん中断して、さっきから青ざめた顔で一言も喋らない先輩2人を見る。

私と目が合った2人は、大きく肩を揺らして明らかに動揺していた。


「だって先輩たちには私に対する、前科がありますもんね?」


にっこりと笑顔で告げれば、このあとに続く言葉が何か、先輩たちには言わなくてもきっと分かってる。


だけど、あえて口にするんだ。

だってムカつくじゃない。
やられっぱなしは、性に合わないんだもん。


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