先生に囚われて

「こんなことばっかりやってると、嫌われちゃいますよ?……大好きな佐伯先生に」



まさに五月晴れの名に相応しい今日の天気も、この校舎裏の湿気の欝陶しさに埋もれそうだ。

私の正面に佇む2人の先輩の顔色は、この場所と同じような土気色で、具合がいいとは決して言えない顔色に変わる。


一方、雅先輩は急に私が現れたことも、突然佐伯を呼んだことも不思議だったようだ。

「宮野さんなんでここに」

「あ、屋上から降りてきて一番近い自動販売機がここのすぐ近くにあるんです」

屋上?とそこに少し引っかかったようだけど、それより気になるのか、スカートについた砂を払いながらもまた口を開く。

「なんでサエちゃんがいるってわかったの?」

「ここって特別教室ばっかり入ってる校舎の裏だから、使われないかぎりとっても静かですよね」


現に今、この辺りの教室を使った授業はないらしく、聞こえるのは私の声と、風でゆれて擦れる木の葉の音だけ――。


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