先生に囚われて
「怪我したやつ、誰?」
沈黙の中に不意に聞こえた背後からの言葉にかなり驚いて、
「ひぇっ」
肩を盛大に揺らして変な声を出す私の後ろで、大きなため息が聞こえた。
「何、驚いてんだ?お前が呼んだんだろ?」
振り返ると、そこに不機嫌そうに目を細めて偉そうに立っているのはもちろんりぃ君。
……りぃ君、教師の態度じゃないよね。
恐ろしく整った顔は目に掛かるくらい長めの前髪で少し隠れているのに、
冷たい雰囲気と圧倒的な威圧感のあるオーラは全く隠れていない。
そんな存在に睨まれたら、どんな人でも萎縮しそうだ。
私も、昔からの知り合いじゃなかったら話しかけたりしないと思う。
だって怖いもん。
絶対に、教師のだす雰囲気じゃないもん。