先生に囚われて
「否定してほしいのか?」

「……いいえ」


なんだか時間がたつのがひどくゆっくりな気がする。

2人の会話が頭の奥でジンジンと響いていて、靄がかかったみたいにハッキリと認識できない。


どうしよう。りぃ君との関係が……。

どうしよう、どうしよう。
なんとか誤魔化さないとっ。

そう思うのに頭が回らなくて、どうすればいいのか何も思いつかない。
焦れば焦るほど、身体が硬直して何も出来なくなっていく。

嫌な汗がどんどん出てくる。

おまけに寒い訳でもないのに、さっきから身体が小刻みに震えている。



そんな私にりぃ君が気づかないはずがない。


大きな腕が横から伸びてきたと思ったら、私の頭に回すとそのまま自分の方に抱き寄せてくれた。


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