先生に囚われて
真意を探ろうと、抱えられた腕の中で顔を動かしりぃ君の顔を覗き見る。

チラッと目が合ったけど、すぐに逸らされたので何も分からなかった。


「よく見てんなぁ」

感心した声で認めるように肯いた。


「あの子たちが……毎日騒いでたから」

「へぇ」

「どんなにみんなが積極的でも、サエちゃんに上手にかわされるって言ってた、なのに」


雅先輩の長い睫毛の乗った瞳が真っ直ぐにりぃ君と私に注がれる。


心臓はさっきからバクバクとものすごい速度で動いている。
突然訪れた状況に戸惑い緊張はしてるけど、心配はしてないと思う。


だって、ここにはりぃ君がいるし、雅先輩の目には悪意が全くないんだもん。



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