先生に囚われて
「なのに、さっきは宮野さんからのボディタッチを避けないとかじゃなくて、サエちゃんが自分から触れに行ってたし」

ああ、さっき背中を叩かれた時だ。

たったそれだけの事で勘づくなんて、雅先輩もかなり鋭いかも。
でも、それなら私と颯汰郎の関係も恋愛関係にないって気づいてくれても良さそうなのに。

恋をすると周りが見えなくなるのは。みんなそうだからわかるけど。


「おまけに……今はそんな感じだし」

最後は尻窄みに声が小さくなり、顔は真っ赤になっている。


雅先輩の照れてる様子に、やっと今の自分の状況を認識する。

……っ!わぁっ!

雅先輩がいるのに、なんか抱き合ってるみたいになってる!

慌ててりぃ君から離れて距離をとる。


りぃ君はちょっとムッとした後に、片手をポケットに、もう片方を首に回して「はあ……」と大きく一息吐いた。


そして、


「まあ、そういうこと」

(のたま)ったのだ。



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