先生に囚われて
私たちを包む空気が一瞬、ピタリと止まった気がした。


けれどその空気を壊すように、



「えっ!?それって……」

「りぃ君っ!」



驚きの声をあげた雅先輩よりも何倍も強い叫び声で、辺りはまた静寂に逆戻りした。

私はこの時、りぃ君の名前を思わず呼んでしまった失敗にも意識がいかないくらい、動揺していた。

雅先輩の視線を感じる。

どういう事かと、私を見ているけど、今の私にはそれを取り繕うことが出来なかった。

私の目には涙でぼやけた彼の姿しか映っていない。


りぃ君、なに言ってるの。なんで言ったの?どうして言ったの?


……ごまかさなきゃ。


違うよ、って。そんなわけないからって。

雅先輩に言わなきゃ。



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